栗山は母方の本家があり、幼い頃から馴染みの土地。マイカーのない時代、田植えや稲刈りの頃、夕張鉄道に乗ってここに来た。
室蘭本線と夕張鉄道が交わる栗山は構内も広く活気のある駅舎だった。現在の駅舎は町民が利用できる施設もふまえたモダンな
建物に変わり、駅前通りの電柱も地中化されスッキリした街並みに変化している。一方、駅構内のかつての面影といえば隅に残され
た夕張鉄道の築堤と橋脚コンクリートの台座が冬枯れの草むらから顔を出していた。

中学1年の正月、家族で栗山の親戚に新年の挨拶巡り、線路際にあった家で外から列車の音が、もう、いても立っていられない。
カメラを持ってきた事を理由にまんまと家から抜け出し撮影に、前に過ぎた列車の煙が空に吸い込まれる間もなく、次の列車が現れる。
あっという間にフイルムが無くなり、しぶしぶ家に戻った

かつてSLを撮ったであろう場所に立ってみた、青い屋根の工場は、昔、レンガ造りの重々しい建物だったが、今はスチール板で覆われ隙間から昔のレンガが顔を出していた。
本線をまたいでいた夕張鉄道の橋脚もなく、線路があったであろう空き地は水田地帯に吸い込まれていった。
酒の匂いに誘われ、北の錦の蔵を訪ねるとトロッコ道とトロッコが・・・そして屋根支える支柱には夕張鉄道のレールが使われている。町内の公園には夕張鉄道で働いていた21号機が静かに眠っていた・・・かつて鉄道で栄えた町は、今だ煙の臭いを忘れてはいない。

栗丘編
由仁編