栗山編

30年以上ぶりに、この鉄橋にやって来た。今だ、この区間が複線であることに、驚き、うれしくもあった。昔、D51が轟音を響かせ長い貨物
列車を牽いて渡ったこの橋も2両編成のキハが軽々と渡って行った。過去の輝きこそないものの、4本のレールは今も生きていた。

SL終焉が近づき、岩見沢を基点とした幌内線、室蘭本線には、まだ煙の臭いが漂っていた。当時、札幌駅のコインロッカーにカメラバック、三脚
を常備していた私は学校に行くふりをして、そのまま撮影地へ。私服を許可した高校に感謝したい。この頃の栗丘はマニアが鈴なりで、それを
嫌った私は夕張行きのバスに乗り込み、由仁で下車、駅構内をまたぐお気に入りの歩道橋で、まずは撮影の腕試し、それから、あの鉄橋へ

当時の由仁駅は牛舎風の建物で北海道の駅舎を感じさせる造り、C57が牽く客車が来るたびに多くの人がホームにあふれていた。貨物列車
の本数が格段に多い、この線では駅員も気の休まる時間もない。ポケットの懐中時計に手をやり、そして指差し確認・・・それは格好いい姿だった。
今の由仁駅は無人となり、ポッポ館なる名前をつけられ、今風の建物のに建て替えられた。